Fumihito Ohashi Architecture Studio

-Studio F SHIZUOKA, SHIZUOKA, JAPAN2010.08
賃貸マンションでのスタジオのリノベーションである.
賃貸物件のため、大掛かりな工事をするのではなく、家具を増設することで、空間に変化がつけられるような計画を行なった.
ひとつは、通常マンションで使用する場合のリビングダイニングのスペースの間に棚「ドミノシェルフ」を設けた.ドミノシェルフは、両面使いの本棚であり、模型などのディスプレイであり、二つの空間を分つ壁である.ラワンランバー材を使用し、ミニマルな形状の直方体を黒皮仕上げのスティールプレートを用いて、上に積み上げた.スティールプレートによってオープンエアになっている部分は、隣り合う室同士の空気を流し、人々のコミュニケーションと作業の集中力を高めるための高さに設けられている.
打合せスペースにはもうひとつ制作したバンビテーブルがある.バンビテーブルの天板は若干縦長の比率で、遥か遠くに見える太平洋に向かう視線を誘う.タモ無垢材の天板の先細りのナラの脚は子鹿のような出で立ちである.脚の先端の断面形状は、元々使用していた北欧のデザイナー、ハッリコスキネンのアームチェアの脚の断面寸法と合わせ、統一感をつくり出している.また、天板の無垢板もテーパーをつけ薄く見せて、華奢な脚に華奢な胴体の子鹿を演出している.

たった二つの家具を作ることにより、賃貸物件でも空間の使い方の可能性は広がることを示すプロジェクトとなった.
所在地 静岡県静岡市駿河区
用途 賃貸集合住宅
規模 10階建(6階部分の一室を施工)
敷地面積 ㎡
建築面積 ㎡
施工面積 ㎡
構造 RC
施工 ㈱中村木工
竣工年 2010年7月
撮影 新澤一平
掲載誌 建築ジャーナル2016年5月号